【御犬様】




 俺がここに住み着くようになってから幾分の月日が過ぎた。
 前の主が事故ッた為に野良犬と化した所、なんかよく分からん化け物と戦った挙句それを人間に見つかった事が原因でこの寮と呼ばれる場所にいる。

 うん、OK,分かった。

 とりあえずお前らアレだ。



 悔い改めろ。

「コロ丸、プロテインだ」
 いや、お前牛丼くれるのは嬉しいんだけど稀にタマネギ入っているんだよ。
 犬にはタマネギは厳禁なんだよ、本人が気をつけても入っているって時点で牛丼渡そうとするなよ。
 後俺を残飯処理係にするなよ。
 てゆーかプロテイン犬に渡して何をするつもりなんだよ? 犬マッチョにするつもりか?
 おかしいだろそれ。なんちゅーか肉彦どんなセンスしてんだよ?
「これを食事に混ぜれば戦いの際にさらに体力が付くぞ」
 ドーピングするなよ、と言うかそれは人間基準であって犬には全く効果が違うんだよ。
 一回混ぜられた時あったけどその時は強制的に発情期になったんだよ。もうそこら辺のメス犬追い掛け回して大変だったんだよ。
 次の日腰が砕けたね、死ぬかと思った。

 と言う事もあり、さすがにプロテインの恩恵にあやかる事無く寮の中を散歩する事にする。


「コロちゃん、私が作ったお昼ご飯食べる?」
 いや無理無理無理無理無理です。そんな紫色になったご飯を食べろと言う方が無理です。
 多分紫蘇ご飯なんだろう、そうだろうと思っても48の殺人料理の餌食になりたくないです。
「キューン……」
「そう、食べてくれるのね?」
 え゛!?
「召し上がれ」
 待て待て待て待て、お前どんなポジティブな考え方しているんだ?
 俺は明らかに嫌そうな顔をしながら耳を垂らして雨の中捨てられている子犬のような目をしていたぞ。
「食べないの?」
 何故だろうか、どこか黒い何かがこのナビゲーターから見える。厳密には背後ともペルソナみたいなものが。
 ニャルラトホテプ降臨したか?
「食べろ」
 命令? マジ命令ですか?
「いいから食べろ」
 もう既に拒否権無いんですか?
「こちとらリーダーに食べさせようとしたら即効で逃げられて腹立ってんだよ」
 シラネェよあのリーダーの事はよ。てかもう諦めろよ、奴は人の物だぞ。
「キャインキャイン!!」
「チッ、誰か来るか……」
 こうなったら最終手段、叫んで誰か来て下さい僕虐められてます作戦を発動する。

 と言う事もあり、どうにか殺人料理を食う事は無かったので安心したら眠くなってしまう、


「あれ、コロ丸昼寝か?」
 テレッテうるさい、こっちは生と死の狭間を生き抜いてきたんだぞ。
 ちなみに俺はアレだ、お前の方が知能指数少ないと思っているぞ。
「いいよなコロ丸は、学校とか行かなくて毎日昼寝と書いていれば生きていけるんだし」
 それは勘違いだ坊主。犬情勢だって下手すれば人間様と同等の気難しさで構成されているんだぞ。
 分かるか? 一説にはアメリカで俺と同じような能力を持っていたが為にエジプトまでの旅に連行された挙句、どう見ても高校生じゃない奴に思いっきり投げられたり、氷を出す鳥と戦ったり、最後には仲間を助けるために死んだりと結構大変なんだよ。
 そう考えると俺って結構気楽な暮らしをしているんだなと思うがそれでも普通の犬には起きないような現象が起きて戦ったりと色々大変なんだって。
「ま、お前はお前で大変なんだよな、前の主人が死んじまったんだからよ……」
 ……まぁな、俺だってただの犬として生きるには充分過ぎるほどの経験をしてきたんだしな。
「それはそうとだコロ丸……」
 何だ?
「ちょっとお前の召喚銃の所に仕込み入れさせてくれないか?」
 ハァッ? 一体何するんだよテレッテ?
「へへへっ……お前って当然立ち位置低いよな? カメラをちょっとな……それで出来れば座るところを誰でもいいから女子の近くにいてくれるだけでいいんだ」
 お前帰れよ。どこの○代だ? 奴は手鏡を使ったけどお前はナマモノか、生き物か。

 と言う事もあり、当然女子にばれてこっ酷くガルダイン+その話を聞きつけたリーダーによる表向き万物流転、裏では取引が行われていたそうな。


「コロ丸さん、お散歩ですか?」
 あ、通訳だ。
「ワンワン」
「ふむふむ、ここの連中は何かが狂っていると? それは私も入るんですか?」
 いや、2009年現在で稼動している意思を持ったロボットの時点で何か歴史が狂ってんじゃねぇの?
 ってかお前は稼動十年目だろ? その時同類のASIMOすら出来てねぇよ。
「ワンワン」
「私が出来たオーバーテックの原因ですか? 桐条の科学力、と言えば満足ですか?」
 いいのかよ。と言うかこいつのストーカーッぷりは犬の俺から見ても目に余るんだよな。
 初回いきなりリーダーの部屋に鍵を解除して入ってきたと聞いた時には引いたぞ。
 そのままお子様は見ちゃいけませんコースに飛ぶのかと思いきややはりコンシューマーだなぁ。
 しかし暇だ、こうなったらこの通訳をいっそ何かにしてみるか。
「ワンワンワンワンワン」
「え? なんでありますか? ……」
 お、さすがに嬢ちゃん黙ったか。
 ちなみに何を言ったかというと。

『お前さんがお熱のリーダーだが、毎晩部屋でギシアンギシアンうるさくて眠れやしねぇ』

 まさに外道。
「……あの糞アマぶっ殺すであります。もう薬莢空になるまで撃ち尽くして材料人間と言うジャムにしてやるであります」

 と言う事もあり、誰かの声で『何をするんだアイギス止めろと言うかその右手のガラテア反物質砲を何故俺に向けギャァァァァァア!?』と言う声が聞こえた後、凄まじい爆音が聞こえたがとりあえず避難も兼ねて散歩に出かける事にした。


「犬…ですね」
「犬ね」
「ちゅーかあそこん所の犬やないか」
 何気に今まで登場してなかったストレガ三人組と遭遇。
 一人は真昼間であろうととりあえず裸の露出狂のタカヤ。決して昔ジャンプで輝いていたアレではありません。
 もう一人はテレッテと何かと噂になっているゴスロリのチドリ。
 もう一人はヅラ。
「ヅラやない!!」
「いきなり何を言っているのヅラ?」
「チドリ…これは彼の頭に対する洋服ですよ」
「だからヅラやないって…これはウィッグや」
「変わってないじゃない」
 ちなみにこいつが一度パソコンで植毛とか育毛関連を検索している所を見たことがある。その目はマジだった。
「ジン……時には衣服を纏わないのも一興ですよ」
「むしろ一驚やないかい」
「もしもし、警察ですか」
 こいつら本当に俺達の敵か? むしろボケとツッコミに関して言えば俺達と同類だぞ。
「……」
「チドリ? なにしとるん?」
「飼いたいわ」
「無理言うなや。そもそも敵さんの飼っとる犬を持っていくなんて意味無いやろ」
「嫌、飼うの。順平と同じみたいに飼うの」
「せやけどなぁ…」
「人質ならぬ犬質ですか……」
 さらりと出た凄まじい言葉をスルーしつつ。
「せやけどタカヤぁ、そこまでやるほど落ちぶれてないんとちゃうん?」
「…チドリ、諦めましょう。この犬にも帰る場所があるのです。我々と同じ悲しみを味あわせるのですか?」
「それは…」
「ま、こいつには今の生活がある。それをぶち壊すのはワイらの役割じゃ無いやろ?」
「うん……」
 普段とうって変わって優しいじゃないかお前ら。
「バイバイ」
 ……今思えばこいつらに付いて行った方が食糧難ではあるが平穏だったかもしれないと激しく後悔したものだ。

 と言う事があり、三人と平穏に別れながら寮に戻ってみる。


「いやぁ、寮が崩壊したのか、ほうかいほうかい」
 幾月自重しろ。マジ自重しろ。頼むからお前からキャラが無くなったとしてもそのギャグセンスだけは封印したいぜ、12のシャドウのようにな。
「じゃなくてねコロ丸君。何があったのか説明できるかな? 無理だと分かっていてもさ」
 ごめん、俺が通訳挑発したら怒りの矛先がリーダーに向かったんだ。
「そういえば彼はどこへ行ったんだい?」
「俺なら大丈夫です」
 ギャーーーと叫びがあっても何故かリーダーは無傷だ。何があったんだ?
「コロ丸、よく危険を回避したな、凄いじゃないか」
 だから俺が原因だっての。
「そういえば君は無傷だね」
「全能の真球がありましたから。あれ便利ですよね、そういう理事長は?」
「僕はほら、波紋呼吸法で……違った。偶然だよ偶然」
 絶対貴様いつか山吹色の何かを出すな。断言しよう。
「俺は人間を止めるぞ幾月ぃぃぃぃ!! じゃない! あの時柱の中に逃げ込まなかったら死んでいたと思うぞ」
 肉彦も自重しろ。それと吸血鬼乙。その後探し物をした中国人の生気でも吸ってろ。
「お前達……何があった?」
「アイギスがいきなりぶっ殺してやるでありますとかのた打ち回った挙句寮を半分ほど破壊していった。ちなみに主な被害場所は幾月さんの部屋」
「僕の!?」
「すいません、とりあえず逃げる方向で良い場所がそこしかありませんでした」
 リーダー大変だな、色々と。俺が言えたこっちゃ無いけどな。
 あーもう腹減っちまったよ、目の前? 知ったこっちゃねぇ。原因の一旦は俺にあるけど被害を出したのは通訳とリーダーの責任だろ?
 と言うかリーダーいい加減関係ばらしちまった方が楽だぞ?
「何をしている?」
 あ、老け顔、ゲフンゲフン。大人っぽい顔立ちをした生徒会長じゃないか。
「ああ、どうやらアイギスが暴走したようだな」
「俺に向かってぶっ殺すでありますとのた打ち回った挙句ガラテア撃ち放題だった」
「何だと!? アイギスがお前に向かって攻撃するなどコーラを飲んでゲップをしないくらい無理な事じゃないか!」
「いや、厳密には……なんでもない」
 多分この後糞アマという言葉が追加されているが、それ以上は言わなかったようだ。
「故障か? いや、少し前にラボに一日送ったがその際何も検出されなかったぞ」
 恋わずらいと言うか女の嫉妬を検出出来るようになったらその人ノーベル賞貰えるよ。
 ちなみにキュリー婦人はノーベル賞で有名だけど、夫も息子も親戚も取っている事はあまり知られて無いんだよな。
「あ、よく見たら伊織君があそこで真っ逆さまになって埋まっているじゃないか」
「犬神家の一族を思い出すな」
「生きているに3千円」
「なら私は死んでいるに5千円だ」
 お前ら酷いな。
「よし、コロ丸。災害救助犬だ」
 こういう時に訓練されてない普通の犬、つっても普通じゃないけどな、とりあえずそんな犬を災害救助犬扱いさせんなよ。
「ところで他の者はどこへ行った?」
「天田とシンジは一時間前に今日の夕食の買出しに行っている。見てないのは加害者と山岸と岳羽だな」
「……この埋まった中にいるかもしれないし探そう、もちろん順平は後回し。何なら理事長が彼を掘ってください」
「どんなプレイをするつもりなんだよ!? 幾月×伊織ってさ!?」
 意味チゲェよ!! マジ自重しろ! ツーか腹減ったよ、とりあえずガキさんの飯食わせろ、買出しから早く戻せ。
「幾月×順平ネタ降臨ですか!?」
「ブリリアント! 最高じゃないか!」
 ナビと老け、お前らもいろんな意味で自重しろ。つーか片方は埋まってたのにどうやって瓦礫ぶっ壊したんだよ?
「コロ丸、後で荒垣を呼んでお前に最高級の飯を食わせてやろう」
 OK,契約成立。とりあえず嬢ちゃんたちを探すぜ。この際誰からなんてのは知らん。
「っつぅぅう! マジ何があったんだ?」
 とりあえずテレッテは言うとおり幾月の奴が掘り出している。彼の貞操は掘られてないようだ。
「いやぁ、アイギス君が突然暴走しちゃってさ」
「え、マジで? それでこんなギャグ漫画のオチみたいな感じの寮になっちゃったんですか」
 ふと思ったんだがリーダーのペルソナはいっその事ミシャグジ様かマーラ様でいいんじゃねぇの? 違和感無いし。
 てかエロパロになると絶対そのネタで女性陣を嫐るんだろうなぁ。
「おーい、ゆかり、それとアイギス、無事か〜?」
 リーダーは必死に探している。多分片方は無事だろうがもう片方はシラネェな。何つってもこの瓦礫じゃ匂いなんてわかりゃしねぇ。
 ってかリーダー、お前の匂いしかしねぇんだよあの女。染めすぎだお前色によ。
「私だけ取って付けたように言っているんじゃないであります!」
 いきなり瓦礫を破壊して出てきたぞこのロボ。
「うおわっ!?」
「いいですかリーダー、あなたはあの阿婆擦れに騙されてます。いい加減目を覚ましてください」
「いや、お前が目を覚ませ」
「実力行使大丈夫ですか?」
「いや、俺全能の真球装備しているし」
「大丈夫です、過去シリーズ回ってこれを手に入れました」
「ちょ、おま!?」
 ちなみに装備しているのは万魔の銃。この作品だと通常の武器だが、前作になると武器属性が『万能』となる。
 全能の真球は『万能以外を無効化』する。
「逃げてもいいですか?」
「駄目です」
「避けてもいいですか?」
「もっと駄目です」
「順平盾にしてもいいですか?」
「構いません」
「ヒデェ!!」
 ちなみに火を噴いたね。当然リーダーの股間の全能の真球直撃したよ。もう二度と使い物にならないようにって意味を込めたんだろう、弾だけにな。
 おっと幾月シンドロームに感染してしまったぜ。
「お、俺の股間の全能の真球がぁぁぁぁ!!」
 ああ、哀れなリーダー。股間を必死に抑えて叫んでいるぜ。
 もう二世作れないんだな。いや、既に仕込まれているなら話は別だけどよ。
「血尿だよぉぉぉぉ!! 肝臓の体温を奪われているんだよロッゾにぃぃぃぃぃ!!」
 エンポリオ乙。つーかそれは撃たれたからであって膀胱にはいい意味で怪我は無い。

 ドサドサッ
「荒垣さん、何があったんでしょうか?」
「シラネェよ、俺が聞きたいもんだ」
 お、飯を早くくれ。と言うか買ってきた物落とすなよ、この有様を見てたら無理も無いけどな。
「どうしましょうか?」
「シラネェよ」
「いや、むしろ荒垣×天田の方が……エクセレントではないか!」
「いいえ、それなら天田×荒垣の方が断然似合ってます! 不良が受けなのは基本中の基本ですよ!」
「テレッテッテッテー」
「URYYYYYYYYY!!」
「魔女狩りであります、魔女狩りであります!」
「止めろアイギス」
「あなたは黒魔術にかかってます。断言します」
 いや、むしろお前が黒魔術にかかってんじゃねぇのか?
 ってか、全員黒魔術にかかっているで決着をつけよう。

 と言う事もあり、実は最後の被害者は偶然別の場所にいたため被害が無く、戻ってみたら寮がぶっ壊されてそこで磔にされた挙句火炙りにされたリーダーを見て卒倒したそうな。
 やっぱ人間って面白いなぁ。