【ゴッドにブラザーおっ立てろ】



「とりあえず何があった?」
「詳しい話を聞かせろ」
 その後どうにかチェックポイントに到着し、エントランスへと向かった一行。
 リーダーは鼻にティッシュを詰めて戻ってきました。
「いや…なんて説明したらいいのか」
「説明したら殺すよ?」
 リーダー、ガクブル。雨の日に打ち捨てられた犬のような目をしてます。
「攫っていいでありますか?」
 ノーでありますアイギスさん。
「訳が分からんな、気がつけば一掃されていたと思ったらこいつは瀕死だ」
「あー…真田先輩、世の中には知らない方がいい事も沢山あります」
 脅迫すれすれの言葉、鼻血、ブルァァァァァ、叫び声。
 ここから結論付けるのはたった一つしかなかった。
「で、リーダー」
「何だ順平」
 リーダー、しつこいようだが鼻にティッシュを詰めた状態。それ故に微妙に鼻声。
「何色だった?」
 順平、察した模様。
「それは…………pギロッ何を言っているんだい順平君?」
「あ、そうですか……」
 順平は殺意の波動を目にした。視線の先には哀れな子羊がいた。
 スケープゴートとは生贄のヤギと言う意味を持つが、むしろ彼は子犬だろう。水を被ってないのにガクガク震えている。
「攫いますよ?」
「だから止めてくださいアイギスさん」
「力尽くでもやります! オルギアモード、展開!」
 アイギス、とうとう理性回路暴走。多分セイバーマリ○ネット○に出てきた乙女回路と同じようなものと思えばいいだろう。
「ってアイギスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………」
「あー、アイギス、チェックポイントを使ってランダムに誘拐しました!」
「ちょ、おい! 全員疲労状態だぞ! そんな状況でどこへ行ったか分からないなんて自殺行為だ!」
「追うぞ! 今の状況では彼らを完全に見失いかねん!」
「既に見失ってます!」
 風花さん凄い爆弾発言。
「じゃあ分担して各階層へ行け! 見つけ次第説教とその他諸々と見つけた奴先着一人には先の行動の真実を知る権利をやる!」
「美鶴先輩何言っているんですか!?」
 美鶴先輩、勝手にブルァァァァの真実を教えると言う行動に出る。当然彼女も知らないので知る権利が欲しい一人であるが。
「ゆかり、ならばお前が最初に見つければ真実は闇の中だぞ」
「ま、大体分かってるんだけどね」
「順平言ったら殺す」
 お手上げ侍のポーズを取りながら順平は早速適当な階層へワープ。
 その他大勢も一気にワープしていった。皆答えを知りたいのね。あら、風花に至っては包丁片手に行っちゃったよ。
『ピンポンパンポン、皆のアイドル、公式的P3ヒロインであるアイギスさんからのナゾナゾです』
「黙れ」
『( ´,_ゝ`)プッ』
「黙りなさい、ところでナゾナゾって何よ?」
『 あら(´・∀・`) 負け犬さん、一人だけ置いてけぼりですか?』
「黙れっつってんだろ」
『それでですね。あまりにもノーヒントで私を探すのは酷な物かと思いまして、優しい私はヒントとしてナゾナゾを』
 こいつらが仲悪いのはある意味仕方ないかと。
『私達の愛の巣は第一階層から第五階層までのどれかです』
「何が愛の巣だ」
『あら、羨ましいんですか?』
「何を言っているんだか……」
『彼食いますよ? 今トラウマになったのかあなたの名前出すだけでガクブル物ですよ? もう食べちゃいたいですよ』
「食うなよ」
『あら、所有権でも持っているおつもりですか?』
「チゲーよ、いいから戻ってこい、皆疲れてしんどいでしょ」
『だが断る、このアイギスが不遇なネタなどジャックするまでだ』
 最早ぐうの音もでねぇ。
「……分かった分かった。探すから早くヒントくれなさいよ」
『ではヒントです。私は今、五階層までにいると先程伝えました』
「はい」
『親の隣は人です。では、中と小の間にあるのは何でしょうか? そこに値する場所にいます』
「はい?」
 その後、リーダーの『ア、アイギス、そんなとこらめぇぇぇぇぇぇぇ、アッー……!!』と言う悲鳴と共に全てが切れた。
 ゆかりの堪忍袋も。



 数分後 ――第四階層、豪奢の庭ツイア――

「ああ、親指の隣は人差し指、中指と小指の間は薬指、薬指は数えて四番目って事ね……」
「さすがですゆかりさん」
「うう……汚された……」
「そこ、女子泣きするんじゃない。それとどこまでヤッたのか詳しく聞かせてもらおうかアイギス」
 ちなみに他の面子は別の階層に行っている模様。
「それでですね。ゆかりさん」
「何?」
 気のせいかこの周りのシャドウが凄まじい勢いで逃げている気がする。リーダー、風花がいないのに察知する。
「戦闘中に顔面騎乗位とはどんなプレイをしてやがるんですかこのビッチが」
「事故だッつーの、ビッチじゃねぇよマジ止めろ」
「ええ、事故ですよマジで、俺倒れていただけですよ」
「「お前は黙ってろ」」
「は、はい!」
 リーダー、立場無し。
「さっきの質問の答えですが、彼を骨の髄まで頂きました」
「アイギス、これから自動車修理屋さんへの予約をしておいた方がいいよね?」
「大丈夫です、これから行くのは産婦人科ですから」
「ロック、私の銃を持って来い。このポンコツをポートアイランドへ沈める」
「誰がロックだ」
 どこか遠い世界の記憶を持ってきたようですゆかりさん。
「よしお二人さん。ここは公平に何か勝負で決めたらどうだ?」
 埒が明かないのでリーダー、とうとう身の安全を確保できる術を探す。
「両側から俺を引っ張って負けた方が大人しく引き下がる。これでどうだ?」
 二人はそろってムムムと悩みながらも結局OKを出す。
(よし、これで早々にどっちかが手を離してくれるだろう。先人の知恵って凄いね。この話を知っている人ならどうすればいいのか答えを知っているし)

 問題はここでリーダーはこの二人はいい意味で馬鹿だった事だ。

「イタイイタイイタイイタイイタイイタイッ!! お前ら手を離せ!!」
「誰が……」
「放すでありますか!!」
「お前らこの話知らないの!? 知らないの!? 正解なんてどこか遠い時空へ飛んじゃっているよ!!」
 もうリーダーの両腕は千切れる寸前。
「ってか誰か! 誰か助けて!!」

 1:ここで格好いいリーダー様が打開策を突然閃く
 2:ここで頼れる仲間がやってきて仲裁に入る
 3:腕が千切れる、現実は非情である

「あ、もうヤバい、腕が! 腕が……!」

 答え、3,3,3,3,3……

 自分の体で何かがハジけた……

 死は、ふいに来る狩人にあらず
 もとより誰もが知る…
 生なるは、死出の旅…
 なれば生きるとは、望みて赴くこと。
 それを成してのみ、死してなお残る。
 見送る者の手に”物語”が残る。
 けれども今、客人の命は潰え、しかし物語はこの手には残らず…


 気がつけばリーダー、ベルベットルームへ直行する。
「イゴール……助けて……」
「無理です」
 『父さん、妖気です!』でビクティム・ビークかますぞ。
「エリザベスさん……」
「無理ですね」
 ああもう駄目だこの寸胴。
「メギドラオンでございます」

 死は、ふいに来る狩人にあらず
 もとより誰もが知る…
 生なるは、死出の旅…
 なれば生きるとは、望みて赴くこと。
 それを成してのみ、死してなお残る。
 見送る者の手に”物語”が残る。
 けれども今、客人の命は潰え、しかし物語はこの手には残らず…


 ベルベットルームで死んだ場合はどうなるんだろうなぁと思いながら、深い闇へリーダーは沈んでしまったのでした。