【開いちゃったのは臓物もですね】
11月の修学旅行にて、寮のメンバーと順平、リーダーのクラスに転校してきた綾時の四人は二、三年合同の修学旅行で露天風呂にいた。
しかし、事故を装って女の子と鉢合わせしちゃおうぜ作戦を決行した順平と綾時の手によって、リーダーと明彦も巻き込まれる。
そんな中、入ってきたのがよりにもよって寮の女性四人組(ロボ含む)だったと来た訳でさあ大変。
「美鶴に殺される美鶴に殺される……」
明彦は処刑を恐れ。
どうでもいいことだが、明彦さんと呼ぶと某マザコンで有名な冬○さんを思い出す作者がいる。
「ヤバいよヤバいよヤバいよ」
順平は某弄られ芸人の口癖をひたすら連呼し。
「さぁ、君はどうするつもりだい?」
綾時に至っては事故なんだから堂々としていればいいじゃんと言う始末。
「事故……」
ふと思い出す。彼の記憶の中で一番強烈に残った事故は7月満月のラブホテルだろう。
自分が悪いわけでもないのにビンタを食らったと来た。
「事故、事故か。よし、その方法で行こう」
「え?」
今ここに、高校生の修学旅行とは思えない混沌とした戦いが勃発したのだった。
シシオドシでも聞こえてくるであろう空間で、女性陣四人は人がいない(と思っている)広い露天風呂を満喫していた。
「うわぁ、凄い広いよね」
「ここなら誰か泳いじゃう人がいるわね」
「絶対居たでしょ、特に前に入っていた男子」
時間交代制度でこの露天風呂はなっていた訳で、普通であれば少し前の時間に男達は引き上げて女子の時間となっている。
しかし、このメンバーの中でアイギスはロボットだと知られてない事もあって、隠す事も兼ねて夜遅く、最後の時間帯に入っている。
「……ふぅ、それにしても広い風呂はよくあったがこうやって複数で入るのも乙なものだな」
何事も無い様に、美鶴は嫌味の欠片も無く凄まじい事を言う。彼女に他意は無いのだろう。
チャプ
「……私達の反対側で水音がしましたね」
アイギスはセンサーで正確に何があったのか把握する。当然他の三人の空気は一変し、一人は怯え、一人は般若となり、もう一人は既に召喚銃を構えている。
「…アイギス? 誰がいる? もしかして覗き?」
「分かりません。ですが人数は四人。いずれも声の感じから男性であると判明しました」
「え!?」
こうなったら既に殺気が周囲を支配する。威嚇の為の銃を構えた美鶴を戦闘に、ゆかり、アイギス、風花と音のする方向へ向かった。
「お前達そこを動くな!」
美鶴の怒声と共に、銃を四人の男子生徒のほうへ向ける。そこにいたのは……。
「きゃ〜〜〜〜〜〜! 覗きよ〜〜〜〜〜〜!」
「あんた等はーーー!」
さすがツッコミの女王様でもあるゆかりは、男達のピンク色の声に対して真っ先にツッコミを入れた。
「キャー順平さん、女の子よ、女の子がいるわ!」
「あらホント! 私達のナイスなbodyを覗きに来たのかしら!?」
「あ、皆さんこんばんわ、月明かりの下で半裸で遭遇するのも乙なものですね」
「……」
明彦はちょっとだけ魂が抜けてきている。
「さて、どういうわけか詳しい話を聞かせてもらおうじゃないの順平!?」
最早ゆかりの顔は言ってしまえば般若だ、鬼だ、外道だ。
落ち着いた所で皆その場で動かず話し合いをする事に。
「と、とりあえず前を隠せお前達!」
美鶴は『何故か全員揃って全裸で仁王立ちのポーズをしている』男子生徒を正面から見る事が出来ず、顔を反らしながら叱っている。
「何を言っている美鶴? 風呂場ではタオルを湯船につけないのが常識だろう?」
最早明彦さんも開き直った様子。
「そ、それは確かにそうだが、そもそも女性の前でそのような格好など……」
ちらと彼の方を見てはやっぱり顔を反らす美鶴。
ちなみに他の面子の反応はと言うと。
風花:既に後ろを向いている。
ゆかり:それ以前に怒り心頭の為、タオル一枚だが腕を組んで仁王立ち、表情もあって恐ろしさ倍増。
アイギス:観察中。
「やあアイギスさん、それにしても珍しい格好でお風呂に入っているんだね」
一般人(?)である綾時はアイギスがロボットなど想像してない。だからなのか、ちょっと的外れな返答を出す。
「あなたは……危険であります。そのような物を反り立ててにやけるでないであります」
「いや、これはあれだよ。うん、見られるって事も何かいいんじゃないかと思うんだね」
バカ一名。
「順平はその粗末なものはしまいなさい」
「ヒデェぜゆかりッチ! ってか何事も無いように接せれるゆかりッチが凄いんですけど!?」
「見慣れたわ!」
ごめんと約一名は心の中で謝罪。順平は凹む。
「え、見慣れた?」
綾時、一人だけ部外者なので、当然の事だがこの寮のある種常識となったものを把握出来てない。
だけど綾時でありファルロスよ。お前が下手すれば一番知っているのではないか?
名前の語源が語源なだけにな。まさかマーラ様と同じ意味かよ。というかこっちは直球じゃないか。
つまり。
ファルロスの使用頻度が高い→つまりファルロス自身も知っている→当然の事ながら彼も。
OK,この流れ決まったね。
「気にしたら負けだぞ」
「さて、言い訳でも聞かせてもらおうじゃないのよ?」
最早よくあるバトル漫画の拳をポキポキと鳴らす動作をするゆかり。この場の全員が死者が出ると思った矢先、リーダーから一言吐き出された。
「いや、覗きに来たのかそっちじゃないか」
「待て」
さすがに美鶴もツッコミを入れる。
「いいですかどうやってもまだコミュを築けない美鶴先輩。俺達は偶然ですが露天風呂でのんびりしていた所に貴女達が入ってきたんです、ですから被害者はむしろ俺達」
「さっきから目が泳ぎまくっている順平と綾時君がいる状態で言えた台詞かこれは?
あ?」
最早チンピラを従えてもおかしくない状況のゆかりさん。
「そ、それは済まなかった皆の者」
「美鶴先輩ーーーーー!?」
「だが考えてみろゆかり、彼らの言い分はもっともだ。私達が入る前に中を確認しなかった事も落ち度があった」
「ちょっと待ってくださいよ! このままじゃ彼らの思う壺ですよ!」
「当たり前じゃないか、こっちは全裸を見られたんだよ」
「見せてんじゃねぇか!!」
確かに、未だに仁王立ちでたまに湯冷めするので湯船に使ったりを繰り返している彼が言えた台詞ではない。
「つまりだ美鶴……」
「なんだ?」
明彦、何かがハジける。
「ここは風呂に最も礼節格好になるのが礼儀というものではないか?」
「つまり脱げ! 脱ぐんだ! アイギスは……ごめんなさい、どうしようもありません。それと風花は今後ろを向いているから俺が脱がす!!」
「やっぱり下心あったんじゃないのよ!!」
腰の捻りが入ったゆかりから繰り出されるビンタは掌底となり。
グシャッ
「前が見えねぇ」
顔面を陥没させたリーダーがそこにいた。
メキッ、ザシュ、『マハブフダイン!!』、『マハガルダイン!!』、『オルギアモード、展開!』
「オルギア最高!!」
その後、この温泉は四人の生き血によって真っ赤に染まった事から、『ベルサイ湯の薔薇』と名づけられた。
*参考までに
ファルロス=亀頭
オルギア=神殿や野外での狂宴を伴う乱交